椿の花通信143号(2月号)

記事『バイオテロ同然!餅つき大会に現れた感染症親子に憤慨』について


2018年1月31日の西日本新聞にこのような記事が載りました。他人ごとではありませんね。
皆様はどうお考えになりますか?

インフルエンザやノロウイルス、溶連菌…寒さが厳しくなるにつれて流行する冬の感染症。我が子が感染するのも恐ろしいですが、関せ病するはずのママが感染すると、家族の機能は完全停止。みるみるたまっていく洗濯物や食器、ホコリっぽい部屋をさらに汚す子ども達。少しでも横になっていたいのにボロボロの体を引きずりながら、家事や育児をせざるを得ないのです。それゆえママ達は、感染症を防ごうと必死になるのですが、まさかの場所に感染源が現れたのです。筆者が住む町では、町内の子ども会の活動が盛んで、お祭りや花火大会等、季節にちなんだ行事が行われます。先日は恒例の餅つき大会が開催されて、手伝いに出かけました。
「今年は一段と寒いね。もうインフルエンザで学級閉鎖したのよ。予防接種をしても、感染するときもあるから不安だわ。」
そんな世間話をしながら、餅つきの準備をするママ達は、みんな割烹着を着て、マスクと手袋着用、衛生上トラブルがないよう細心の牛意を払います。熱々のもち米を臼に移し、もわぁと湯気が上がると、周囲の子ども達は、ワッと盛り上がり「早くお餅つきたい!」と催促するので、子ども達に順々に杵を渡して餅をついてきました。
その様子は、まさに日本のお正月ならではの風景。毎年寒さに震えながら、準備する価値があるなと思います。
そうしているうちに、ぽってりとつきたての餅ができあがりました。
さっそく、餅を小分けにして。みんなで味見をします。
「私、醤油がいいな!」「きなこも美味しい!!」
大騒ぎの子ども達を微笑ましく見ていると、少し離れた場所で「僕も一緒に食べたい!」と騒いでいる子がいます。困り顔のママは、小分けにした餅を、密閉容器に入れて持ち帰る様子。「ここで食べてもいいんですよ」と声をかけると、思いがけない言葉が返ってきました。
『うちの子、今、胃腸炎なんです。でも餅つきはずっと楽しみにしていたので、お餅は貰って帰って家で食べようかと思って。」
感染中と言われた子は、マスクも付けずに「帰りたくない!ここで食べる!」と大騒ぎしています。しかも、ただ餅つきを見ていただけでなく、先ほど子ども達に杵を渡した時、この子もしっかりと杵を握り、餅をついていたのを思い出しました。
胃腸炎の子に、100人弱が食べる餅をつかせたの?万が一、胃腸炎が感染したら…と唖然としてしまいます。
気づけば、他にも早く帰る親子が数人いて、餅を持ち帰る袋がないかと尋ねています。嫌な予感がして子をかけると、こちらもまた感染症!!
「もうインフルエンザは治っているけれど、自宅待機の期間中だから早く帰ります。」
「餅つきを見ている間、寒くって!風邪が悪化しそうなので、家で食べます。」
悪気もなく答える親にびっくり…。
この餅つき大会に一緒にお手伝いとして参加した友人は、普段子どもを保育園に預けていて、インフルエンザや胃腸炎に感染してしまうと1週間近く仕事を休まなくてはいけないので、感染症対策は死活問題。
まさかの感染症親子たちの出現に「許せない!こんな大人数が集まる場所で、口に入れるものを作っているのに、感染症の子どもを連れてくるなんて!!バイオテロも同然だよ!」と憤慨していました。餅つきは、来年もやります。どうか感染症にかかっている時は、自宅で安静にしてくださいと、心の中で唱えるのでした。

まず感染症であろうとなかろうと体調の悪い時には無理をさせないことが基本です。
それが人にうつす可能性のある病気だった場合『お友達にうつしてしまうかもしれない』こと、
それは『周囲にとても迷惑をかける』ことをきちんと教える必要があると思います。
餅つきや発表会や移動教室やお遊戯会など楽しみにしていた行事に参加したいというお子さまの
気持ちや参加させてあげたい・子どもが頑張っている姿を見たい保護者の方の気持ちは、皆さん
一緒だと思います。その子どもたちに他の人への気遣いや配慮ができるように、考え、説得し、
納得出来るように導く事も保護者の努めではないでしょうか?
私たち医療者も、病気に対して正しい意識を持っていただけるよう引き続き努力していきたいと思います。