椿の花通信 116号(11月号)

水痘ワクチン定期接種後の患者数の変化

水痘ワクチンは昨年の10月から定期接種となり、1~2歳児に2回接種が広く実施されております。これにともない、水痘の小児科定点あたりの患者報告数は、昨年同時期と比較しておおよそ半分に減少しています。事実、感染症発生動向調査が開始された1999年以降、最も少ない報告数となっています。これは、定期接種化による接種率の上昇と、2回接種による強固な免疫賦与が大きく影響していると考えられます。残念ながら1回のワクチン接種では、40%程度の方が水痘に感染してしまいます。水痘に感染すると、水痘ウイルスは体の神経節のなかでじっと生息していますので、将来的に帯状疱疹(たいじょうほうしん)で悩まされる可能性があります。3歳以上の方でも任意ワクチンとしての接種は可能ですので、まだ水痘にかかっていない方は是非2回接種されることをお勧めします。

感染症予防のための情報提供について(日本脳炎)

8月中旬に、千葉県旭市海匝保健所管内において、0歳の日本脳炎患者が確認されました。現在、感染源と感染経路の特定を行っているそうですが、今のところ不明のようです。千葉県内では25年ぶりの発生となります。
ご存知のように日本脳炎は、日本脳炎ウイルスを保有する蚊に刺されることによって感染しますので、ヒトからヒトへの感染はありません。ですが、予防する方法としてはワクチン以外にありません。
この発症を受けて「VPDを知ってこどもを守ろう!」の会では、生後6ヶ月から日本脳炎ワクチン接種を接触的に行う方向で動いてします。実際に、日本脳炎ワクチンは生後6ヶ月から接種が可能となっているワクチンで、標準接種が3歳からと規定されているために、多くの方が3歳から接種されていると思います。しかし、外に遊びに行って蚊に刺されるのは3歳以降だから…という終戦後の考え方でこの標準接種時期が決められたという経緯があり、現実にそぐわない状況になっています。
日本脳炎への感染が怖いと考える方、西日本にお住まいの方、日本脳炎感染高リスク地域に渡航予定の方(東南アジア・韓国・中国・台湾・オセアニア・グアム・サイパン・西南アジア)は、是非積極的にワクチン接種を行ってください。

なお、北海道も2016年4月より日本脳炎ワクチンが定期接種となります。