椿の花通信179号(11.12月号)

2021-22シーズンの季節性インフルエンザワクチンに関して

 日本で2020-21シーズンにインフルエンザにかかってしまった患者数は、おおよそ1.4万人で新型コロナウイルスの流行に伴い、明らかに例年の流行より規模が小さくなりました。このため、2021-22シーズンの季節性インフルエンザに対する抗体はほとんどの方が持っていないと想定され、いったん流行が見られた場合は、爆発的に広がる可能性が考えられます。この時点で、新型コロナウイルスの流行もなくなっているわけではないため、発熱者に関する医療機関の対応も限定されてしまい、医療機関の体制は逼迫してしまうことが考えられます。2021年7月の南半球オーストラリアやニュージーランドでは、インフルエンザは全く流行しませんでした。この流れであれば、日本においても流行はしないのではないかと考えられるのですが、逆に、北半球のバングラデシュでインフルエンザB型が、インドではインフルエンザA型が流行している状態です。現在のところ、日本は新型コロナウイルスの水際対策の元に渡航制限をしているため、入国が厳しい状況にあり、流行はしないと推測されますが、新型コロナウイルス感染の第5波が終息しつつある状況で、経済活動を活発化させるべく政府が渡航制限を解除した場合、あっという間に季節性インフルエンザの流行を招く危険をはらんでいます。このような状況を考えると、万が一に備える意味でも、季節性インフルエンザワクチンを接種しておくことは重要だと思います。
 当院ではこれまで通り、自治体に対して設置を申請しなければいけない発熱外来を行う予定はありませんので、新型コロナウイルス感染症の診療を行うことはできません。その時点で新型コロナウイルス感染症とも季節性インフルエンザ感染症とも区別がつかないような発熱患者様は新型コロナウイルスの抗原検査、またはPCR検査を行える医療機関への受診を誘導することになります。是非インフルエンザワクチンを接種していただき、感染を防いでください。よろしくお願い申し上げます。